わが家でも、3歳のシーズー・あんずと16歳のトイプードル・レオが、よく足元にいます。
調べて分かったのは、足元は「飼い主のにおいがいちばん濃くて、動いたらすぐ気づける、安心できる場所」だということ。
「足元にいるのは服従のしるし」という説明は、今の獣医行動学では支持されていませんでした。
この記事では、足元が好きな理由、愛着と分離不安の見分け方、踏む・つまずく事故を防ぐ工夫をまとめます。
ハル
座れば足の間、寝ころべば足のあたり。なんでワンコって、こんなに足元が好きなんだろう?
あんず
いいにおいがするの!
レオ
動いたら、すぐ分かるしね。
タル吉
本当かどうか、確かめてみるとよいのじゃ。
ハル
わが家の犬も足元が好き|あんずは足の間、レオは足元で丸くなる
あんずのお気に入りは、わたしの足の間です。
寝ころんでいると上がってきて、足の間から股の先あたりにぴたっと収まります。

ここが、あんずの定位置です。
床にいるときも、気がつくと足元にすわって、じーっと見上げています。
おやつを待っているときは、とくにそうです。

この目で見上げられると、弱いです。
16歳のトイプードル・レオは、夜、足元で静かに丸くなって眠ることがあります。
あんずは置いてけぼりが大の苦手な3歳、レオは16歳。
性格も年齢もちがう2匹が、どちらも足元を選ぶ。その理由が気になりました。

丸くなって休むのが好きです。
犬が足元で寝る・足元に来る理由|においと安心と見張り
資料に出てきた理由を、裏づけの強さといっしょに並べました。
足元は、飼い主のにおいがいちばん濃い場所
アメリカのエモリー大学のバーンズ博士たちは、犬の脳をMRIで調べる研究をしています。
2015年の研究では、いろいろなにおいをかがせたとき、いっしょに暮らす家族のにおいで、脳の「うれしい・ごほうび」に関わる場所がいちばん反応しました。
このとき、家族本人はその場にいません。においだけで反応したそうです。
人の足は汗をかきやすく、靴下や靴の中で、においがこもります。
犬にとって足元は、飼い主をいちばん強く感じられる場所なのかもしれません。
あんずが足の間に入りたがるのも、そう思うと納得です。
飼い主は「安全基地」
ハンガリーのトパール博士たちは1998年、人の赤ちゃんの愛着を調べる方法を犬に使いました。
すると犬も、飼い主がいると安心してまわりを探検し、離れると少し不安になり、戻ってくるとくっつきに来ることが分かりました。
飼い主のそば、とくに足元にいるのは、この安全基地にくっついていたい気持ちとつながっていると考えられています。
「立ったら何か起きる」を覚えている
飼い主が立ち上がると、散歩に行く・ごはんが出る・おやつがもらえる。
それを覚えた犬は、飼い主が動いたらすぐ分かる足元にいるようになる、と説明されていました。
料理中に足元にいるのは、まさにこれかもしれません。
見つめ合うと、犬も人もうれしくなる
麻布大学の菊水健史先生たちの研究(2015年・Science)では、犬と飼い主が見つめ合うと、犬と人の両方で「オキシトシン」というホルモンが増えることが分かっています。
なでるなどの触れ合いでも、犬と人の両方でオキシトシンが増えたという研究があります。
足元から見上げてくるあの顔も、おたがいの絆を強くする時間なのかもしれません。
ハル
足元にいるのは服従のサイン?「主従関係」説は今は支持されていない
「足元で寝るのは、飼い主をリーダーと認めた服従のしるし」
「足の上に乗るのは、飼い主を支配しようとしている」
こんな説明を見かけることがあります。
米国獣医動物行動学会(AVSAB)は、犬の行動を「順位」や「支配」で考えるやり方について声明を出しています。
そこでは、困った行動は、上の立場をねらっているのではなく、そうするといいことがあると学んだ結果だと書かれています。
足元にいるのも、足に乗るのも、そこが心地よい・構ってもらえると覚えたと考えるほうが、今の考え方に合っています。
反対に、「飼い主を外の敵から守っている」というロマンのある説明も、はっきりした根拠は見つかりませんでした。
どちらも、人の気持ちを犬に当てはめた説明だと考えたほうがよさそうです。
足にあごを乗せる・足の間に入るのは
足の上にあごを乗せたり、足の間に入りこんだりするのは、もっとくっついていたいときの行動として説明されていました。
まわりを囲まれたせまい場所は、犬にとって落ち着きやすいとも言われます。
あんずが足の間を選ぶのも、ハウスの中のような安心感があるのかもしれません。
足元から離れないのは愛着?分離不安?見分け方
足元にいたがるのは、ほとんどの場合、ふつうの愛着です。
ただ、離れたときに強いパニックになるときは、「分離不安」のことがあります。見分けるポイントはここでした。
右の列にいくつも当てはまるときは、かかりつけの獣医さんに相談しましょう。
問題行動を専門に診る「行動診療科」のある動物病院もあります。
あんずも置いてけぼりは大の苦手です。
(あんずのお留守番の一日は癒しの天才シーズー・あんず|寝るのが大好き、でも置いてかれるのはイヤ!に書きました)
シーズーは、人のそばにいるための犬
シーズーは、昔の中国の宮廷で、人のそばで過ごす愛玩犬として大事にされてきた犬種です。
人の近くにいるのが好きな性質は、足元が好きなこととつながっていそうです。
老犬が足元を離れなくなるとき
年をとって目や耳が衰えると、まわりの様子がつかみにくくなり、飼い主のそばにいたがるようになることがある、と説明されていました。
見えにくく、聞こえにくくなっても、においと、足にふれる感触は分かります。
急に後追いがひどくなった、夜に落ち着かず歩き回る、といった変化があるときは、体の病気や老化のサインのこともあるので、獣医さんに相談してください。
料理中・仕事中に足元にいるときの注意|踏む・つまずく事故を防ぐ
足元にいてくれるのはうれしいのですが、事故には気をつけたいところです。
アメリカの疾病予防管理センター(CDC)の報告(2009年)では、ペットが原因で転んでけがをし、救急で手当てを受けた人は年に約8万6千人。
そのうち約9割が犬で、犬につまずいて転んだケースが多くありました。
とくに高齢の人は、転ぶと骨折につながりやすいと書かれています。
犬のほうも、小型犬は踏まれると骨折などの大けがになることがあります。

でも、いちばん危ない場所です。
料理中は「ベッドで待つ」を練習
台所の足元は、熱いもの・刃物が落ちてくる、玉ねぎやチョコレートなど犬に危ない食べ物が落ちるという危険があります。
資料では、次のような工夫がすすめられていました。
- 台所の入り口にペットゲートをつける
- 台所が見える場所に犬のベッドやマットを置き、「ハウス」「まて」で待てたらほめる
- 熱いものを運ぶときは、先に犬の場所を確かめる
仕事中・家の中で歩くとき
机の下や椅子のまわりで寝ているときは、立ち上がる前と、椅子を引く前に足元を見る。
夜に足元で寝る子がいるなら、暗い中で起きるときにも気をつける。
老犬は足腰が弱くなって、よけるのもゆっくりになります。すべりにくいマットを敷いておくと、犬にも人にも安心です。
立ち上がる前に、まず足元を見る。これだけでも、事故はぐっと減らせそうです。
足元にいてくれるのは、それだけ安心してくれているしるし。そう思うと、気をつけるのもちっとも苦になりません。
犬が足元にいたがる理由、よくある質問
犬が足元で寝るのはなぜ?
飼い主のにおいが濃く、安心できて、飼い主が動いたらすぐ気づける場所だから、と説明されています。家族のにおいだけで犬の脳の「ごほうび」に関わる場所が反応した、という研究もあります。
足元で寝るのは服従や主従関係のサイン?
今の獣医行動学では、そうは考えられていません。米国獣医動物行動学会(AVSAB)は、犬の行動を順位や支配で説明する考え方を支持していません。そこが心地よいと学んだ結果、と考えるのが今の主流です。
犬が足元から離れないのは分離不安?
多くはふつうの愛着です。ドアを激しくひっかく、留守番中に物をこわす・あちこちで粗相をする、出かける前からふるえるといった様子があれば、分離不安のことがあるので獣医さんに相談しましょう。
料理中に犬が足元に来るのは危ない?
危ないです。熱いものや刃物、犬に危ない食べ物が落ちることがあります。ペットゲートを使う、台所が見える場所にベッドを置いて待つ練習をする、といった工夫がすすめられています。
老犬が足元を離れなくなったのはなぜ?
目や耳が衰えると、まわりの様子がつかみにくくなり、飼い主のそばにいたがるようになることがあります。急な変化があるときは、病気のこともあるので獣医さんに相談してください。
参考:Berns, Brooks, Spivak「Scent of the familiar: An fMRI study of canine brain responses to familiar and unfamiliar human and dog odors」(Behavioural Processes, 2015)/Topál et al.「Attachment behavior in dogs (Canis familiaris): A new application of Ainsworth’s Strange Situation Test」(Journal of Comparative Psychology, 1998)/Nagasawa et al.「Oxytocin-gaze positive loop and the coevolution of human-dog bonds」(Science, 2015)/Odendaal, Meintjes「Neurophysiological correlates of affiliative behaviour between humans and dogs」(The Veterinary Journal, 2003)/AVSAB「Position Statement on the Use of Dominance Theory in Behavior Modification of Animals」/CDC「Nonfatal Fall-Related Injuries Associated with Dogs and Cats — United States, 2001–2006」(MMWR, 2009)
ハル
あんず
えらくなりたいんじゃないの!
ハル
立ち上がるときは、ちゃんと足元を見るからね。








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