国際畜犬連盟(FCI)の犬種標準を読んで驚いたのは、耳としっぽの項目でした。どちらも「自然のまま」。あのぴんと立った耳と短いしっぽは、手術で切った姿だったのです。そして性格は「友好的で、穏やかで、家族に非常に忠実」とされていました。
この記事では、ジャパンケネルクラブ(JKC)とFCIの犬種標準、心臓専門の動物病院の情報をたどりながら、歴史・耳としっぽ・性格・お世話・かかりやすい病気・迎え方までをまとめました。
ハル
ミニピンの記事で「ミニピンはドーベルマンより先に生まれた」って書いた、あのドーベルマンなんだ。
あんず
でも、ちょっとこわそうなの……
レオ
性格も「友好的で、穏やか」とされているんだって。
タル吉
わしも、ただの石だと思われることがあるのじゃ。
ハル
心臓の病気のことも、専門の動物病院の情報で調べたよ。
ドーベルマンってどんな犬?名前は最初の繁殖者から
ジャパンケネルクラブ(JKC)の犬種紹介によると、ドーベルマンは最初の繁殖者、フリードリッヒ・ルイス・ドーベルマン(1834〜1894年)の名前がつけられたドイツの犬種です。彼は収税人で、屠畜解体業者で、パートタイムで犬の保護員もしていたと言われ、捕獲した犬の中から特に際立った犬を交配させたそうです。
できあがった犬は、警戒心があるだけでなくすぐれた護衛犬であり家庭犬でもあり、警察犬として広く使われたことから「Gendarmedogs(地方治安警察官犬)」というニックネームもついたとか。20世紀の初めには警察犬として正式に認められたとありました。
JKCの2025年の犬籍登録頭数では、ドーベルマンは427頭で第32位でした。
ドーベルマンの耳としっぽ|犬種標準は「自然のまま」

ほほにそった垂れ耳と、長いしっぽです。
ドーベルマンといえば、ぴんと立った耳と短いしっぽを思い浮かべる方が多いと思います。でもあの姿は、子犬のうちに耳やしっぽを手術で切る「断耳・断尾」によるものでした。
国際畜犬連盟(FCI)の犬種標準を読むと、耳は「自然のままで、適度な大きさ。頭の最も高いところの両側について、理想的にはほほにぴったりそう」、しっぽも「自然のままで、理想的にはゆるいカーブを描いて高く持つ」と書かれていました。
JKCも、ドーベルマンを含むドイツ/イタリア原産の11犬種について、断耳・断尾された犬のドッグショーでの扱いを案内しています。2025年8月のFCIの通達を受けて、開催国の法律で断耳・断尾が規制されている場合は、断耳・断尾された犬は出陳できないというルールが、2025年9月1日以降の展覧会から適用されているそうです。
ドーベルマンの性格|友好的で穏やか、家族に非常に忠実
JKCの犬種紹介には、性格が「友好的で、穏やかである。家族に非常に忠実である。中庸な気性と鋭敏さ(警戒心)が望まれる」と書かれていました。さらに「ある程度、感情を抑えられる犬であることが、主人と良い関係を築くのに必要」で、訓練しやすく、作業を楽しみ、勇敢だそうです。
「こわい犬」というイメージとは、ずいぶん違いますね。ただ、オスは体重40kgを超える大きくて力の強い犬です。子犬のころからの社会化としつけと、それを続けられる飼い主側の準備が欠かせません。性格には個体差があるので、あくまで一般にそう言われている、というお話です。
ドーベルマンのお世話|運動・短い毛・寒さと暑さ
たっぷりの運動
警察犬や作業犬として働いてきた、筋肉質で体力のある犬です。毎日の散歩に加えて、頭と体を使う遊びやトレーニングの時間をとってあげたい犬種です。
短い毛は手入れが楽、でも寒さには注意
毛は短く、全身のカットは必要ありません。ラバーブラシなどで抜け毛を取るくらいで済みます。そのぶん、体を覆う毛が薄いので、冬の寒さには気をつけたいところです。散歩のときは服を着せる、室内を暖かくする、といった配慮をしてあげましょう。
夏の暑さにも
黒や茶色の毛は日差しの熱を吸いやすく、大きな体は熱がこもりがちです。夏の散歩は朝晩の涼しい時間にして、室内はエアコンで涼しく保ちましょう。
ドーベルマンがかかりやすい病気|「症状がなくても」心臓の検査を
拡張型心筋症は「無徴候でもホルター心電図」
心臓病を専門にする杉並動物循環器クリニック(東京都杉並区)の解説では、拡張型心筋症は心筋が薄くなって心臓が大きくなり、力強く収縮できなくなる原因不明の病気で、発生が多い犬種の最初にドーベルマンが挙げられていました。
症状は疲れやすくなる、肺水腫や胸水・腹水、失神、ふらつきなど。そして、とくに重く受け止めたのが次の一文です。「特にドーベルマンでは致死性の不整脈による突然死が多く認められるため、無徴候でもホルター心電図の実施が推奨されています」。同院によると、3割程度のドーベルマンでは致死性の不整脈による突然死が認められるそうです。
ホルター心電図は、体に小さな装置をつけて24時間の心電図をとる検査です。元気に見えるうちから、心臓の検査を健康診断に組み込んでおきたい犬種だと感じました。
胃拡張・胃捻転
ダクタリ動物病院 東京医療センターの解説では、胃拡張・胃捻転は胸郭が深い大型犬に好発し、例としてドーベルマンも挙げられていました。いちばん特徴的なのは「吐きたそうにするけど吐けない」様子で、数時間で急に悪くなります。食事を分けて与え、食後すぐに激しく運動させないようにしましょう。くわしくはサモエドの記事でもまとめています。
ここに挙げたのはあくまで気づくためのきっかけで、診断ではありません。あてはまるところがあっても自己判断はせず、気になる様子があれば動物病院に相談してください。
ドーベルマンを迎えるときに知っておきたいこと
力の強い犬を、毎日扱えるか
オスは体重40kgを超えます。散歩で急に走り出したとき、止められるか。しつけやトレーニングに時間をかけられるか。そして、元気に見えても心臓の検査を続けられるか。迎える前に考えておきたいことです。
「8週齢」のルール
環境省が定める動物愛護管理法では、繁殖業者が生まれてから56日(8週齢)を過ぎない子犬を、販売のために引き渡したり展示したりすることは禁止されています(令和3年6月1日施行)。
迎え方の3つの道
子犬の価格は時期やお店によって変わります。検討される際はご自身で最新の情報を確認してください。
わが家の視点|ミニピンと、あんず・レオと比べてみた

脚が長く、あんずとレオは背中より下にすっぽり入ります。
ドーベルマンの体高はオスで68〜72cm。シーズーの犬種標準は27cm以下、トイプードルは24cm超〜28cmなので、2倍半ほどの高さになります。
ミニチュア・ピンシャーの記事では、ミニピンは「小さなドーベルマン」ではなく、ドーベルマンより先に誕生していたという話を書きました。今回ドーベルマンを調べてみて、見た目の印象だけで判断してはいけない、というのは性格も同じなのだと感じました。
ほかの大型犬はゴールデン・レトリーバーやバーニーズ・マウンテン・ドッグでも調べています。
ドーベルマンについてよくある質問
耳は立っているのが普通?
立った耳は断耳によるものです。FCIの犬種標準では、耳もしっぽも「自然のまま」とされています。
こわい性格?
JKCの犬種紹介では「友好的で、穏やかで、家族に非常に忠実」とされています。ただし大きく力の強い犬なので、子犬のころからの社会化としつけは欠かせません。
かかりやすい病気は?
拡張型心筋症の好発犬種です。専門の動物病院は、症状がなくてもホルター心電図の検査をすすめています。
ミニチュア・ピンシャーとの関係は?
ミニピンは「小さなドーベルマン」ではなく、ドーベルマンより先に誕生した犬種です。くわしくはミニチュア・ピンシャーの記事をどうぞ。
この記事で参考にした主な情報
あんず
お耳も、ほんとはあんずみたいに垂れてるんだね!
ハル
これで33犬種目。次は白くて小さなテリア、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアを調べてみようかな。




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