国際畜犬連盟(FCI)の犬種標準を読んでいて、思わず頬がゆるんだ一文がありました。性格の項目に「とても社交的で、番犬としては使えない」。それから歴史の項目には、昔のサモエドは飼い主の住まいの中でいっしょに眠り、暖房がわりにもなっていたと書かれていたのです。
この記事では、FCIの犬種標準、ジャパンケネルクラブ(JKC)の登録数、獣医師監修の解説をたどりながら、歴史・性格・白い被毛のお手入れ・暑さ対策・かかりやすい病気・迎え方までをまとめました。
ハル
シベリアの寒いところで、そりを引いていた犬なんだって。
あんず
サモエドさんも、いっしょにお布団で寝るの好きなの?
レオ
ただ、そのぶん日本の夏は大変そうだね。
タル吉
わしはいつも、ライトの下で甲羅を温めておるからのう。
ハル
じゃあ、サモエドの歴史から紹介していくね。
サモエドってどんな犬?シベリアで人と暮らした白いそり犬
FCIの犬種標準の「歴史」の項目によると、サモエドの名前は、ロシア北部とシベリアに暮らしていたサモエド族に由来します。南のほうでは白・黒・茶のまだらの犬がトナカイの番に、北のほうでは真っ白で穏やかな犬が狩りやそり引きに使われていたそうです。
そして、この一文。「サモエドの犬は飼い主のすぐそばで暮らし、住まいの中で眠ることさえあり、暖房がわりにも使われた」。人のそばにいるのが当たり前の犬だったことが伝わってきます。
西洋に広まったきっかけは、イギリスの動物学者アーネスト・キルバーン・スコットです。1889年にサモエド族のもとで3か月を過ごし、子犬を連れて帰りました。その後に迎えた数頭と、探検家たちが連れ帰った犬が、いまのサモエドのもとになったそうです。最初の犬種標準は1909年にイギリスで作られました。
体重は犬種標準では決められていません。ワンクォールで石井香絵獣医師が監修した解説では、オス20〜25kg、メス18〜23kgが目安とされていました。
JKCの2025年の犬籍登録頭数では、サモエドは817頭で第31位でした。同じ白いスピッツの仲間の日本スピッツ(1,467頭・第28位)と、だいたい同じくらいの順位です。
サモエドの性格|とても社交的で「番犬には使えない」
FCIの犬種標準の性格の項目を訳すと、こう書かれていました。「友好的で、開けっぴろげで、注意深く、活発。狩猟本能はとても弱い。臆病でも攻撃的でもない。とても社交的で、番犬としては使えない」。
さらに欠点の一覧には、「よそよそしさ(愛想のなさ)」まで入っていました。人に冷たい態度をとることが、犬種の欠点として書かれているのです。
サモエドスマイルは「目と口角」でできている
標準によると、あの笑顔は目の形と位置、そして少しだけ上がった口の端の組み合わせでできています。目は濃い茶色のアーモンド形で、少しつり上がっていて、表情は「ほほえんでいる」。青い目や左右で色の違う目は失格とされていました。

これが「サモエドスマイル」の正体です。
甘えん坊で、寂しがり屋
石井獣医師監修の解説では、サモエドは温厚で社交的な一方、甘えん坊で、分離不安になりやすい面もあるとされていました。いっしょに過ごす時間をたっぷりとれる家に向いていそうです。
同じ解説では、穏やかな性格でも、力の強さとお手入れの大変さから、初心者向きとはいえないとされていました。性格には個体差があるので、あくまで一般にそう言われている、というお話です。
サモエドの白い被毛|首まわりの襟巻きと、冬に薄くなる鼻
FCIの標準では、被毛は豊かで厚く、しなやかで密な「極地の被毛」。短く柔らかい下毛と、長くて硬めのまっすぐな上毛のダブルコートです。首と肩のまわりには頭を縁どる襟巻き(ラフ)ができ、とくにオスで目立ちます。太もものうしろの毛は「ズボン」のよう。足の指の間にも、足を守る毛が生えているべきとされていました。
正しい被毛には、いつも特別なつやのある輝きがあるそうです。メスの被毛は、オスより短く柔らかいことが多いとも書かれていました。
冬になると鼻の色が薄くなる「ウィンターノーズ」
鼻は黒が望ましいとされていますが、標準には「季節によって鼻の色が薄くなる、いわゆるウィンターノーズになることがある」と書かれていました。ただし鼻のふちには、いつも濃い色が残っていなければならないそうです。
毎日のブラッシングと、刈らないこと
石井獣医師監修の解説では、毎日のブラッシングと、1〜2か月に1回、皮膚に合ったシャンプーでのシャンプーがすすめられていました。
アニコム損保の解説では、被毛をカットすると皮膚が紫外線にさらされてしまうので、トリミングで短くするのはすすめられない、とされていました。暑そうに見えても刈ってしまわない、というのはポメラニアンの記事で調べた話とも同じです。
サモエドのお世話|散歩と、日本の夏の暑さ対策
散歩は晴れた日に30分以上
石井獣医師監修の解説では、毎日ほどよい運動が必要で、晴れた日は30分以上の散歩を目安にとされていました。そりを引いていた犬なので、力も体力もあります。FCIの標準でも、歩き方は「力強く、のびやかで、疲れ知らず」と書かれていました。
寒い国の犬にとって、日本の夏はきびしい
獣医師が監修した解説(withpety)では、サモエドは寒い土地の出身で、暑さに弱く熱中症になりやすいとされていました。夏はエアコンのきいた部屋で過ごし、散歩は早朝や夜の涼しい時間に、が基本になりそうです。
🐾 夏の散歩に「保冷剤を入れるネッククーラー」、シャンプー後の厚い被毛に「大風量のペットドライヤー」
暑さに弱く、被毛の厚い犬との暮らしで役立ちそうな道具の一例です(わが家の使用品の紹介ではありません)。ネッククーラーは首まわりのサイズに合わせて選び、冷やしすぎに気をつけてください。ネッククーラーだけで熱中症は防げないので、散歩の時間帯とエアコンが基本です。
運動量や散歩の時間は個体差があります。子犬やシニア、持病のある子は、かかりつけの先生に相談しながら決めてください。
サモエドがかかりやすい病気|胃捻転・股関節・糖尿病
獣医師監修の解説で、サモエドに多いと挙げられていた病気をまとめました。
命にかかわる「胃捻転」は、食後の運動に注意
胃拡張・胃捻転は、胃がふくらんでねじれてしまう病気で、中型〜大型の犬に多く、命にかかわることがあります。withpety の解説では、空気をいっしょにたくさん飲みこんだときや、食後すぐに激しい運動をしたときに起こりやすいとされていました。ごはんのあとは、しばらくゆっくりさせてあげたいところです。
股関節形成不全は、体重管理も大切
股関節形成不全は、股関節がうまくかみ合わず、痛みや歩き方の変化が出る病気です。withpety の解説では、肥満は関節に負担をかけるので、体重管理が大切とされていました。
ここに挙げたのはあくまで気づくためのきっかけで、診断ではありません。あてはまるところがあっても自己判断はせず、気になる様子があれば動物病院に相談してください。
サモエドを迎えるときに知っておきたいこと
「8週齢」のルール
環境省が定める動物愛護管理法では、繁殖業者が生まれてから56日(8週齢)を過ぎない子犬を、販売のために引き渡したり展示したりすることは禁止されています(令和3年6月1日施行)。
迎え方の3つの道
子犬の価格は時期やお店によって変わります。検討される際はご自身で最新の情報を確認してください。
わが家の視点|シーズーのあんず、トイプードルのレオと比べてみた
サモエドの理想の体高はオス57cm。シーズーの犬種標準は27cm以下、トイプードルは24cm超〜28cmなので、あんずとレオの倍くらいの高さになります。

同じ白っぽい犬でも、大きさはまるで違います。
「飼い主のそばで眠り、暖房がわりになっていた」という話を読んで、あんずの寝場所のこだわりについて書いたときのことを思い出しました。体の大きさは違っても、人のそばで眠りたい気持ちは同じなのかもしれません。
白いもふもふの仲間では、日本スピッツの記事で、サモエド・日本スピッツ・ポメラニアンの大きさの違いも紹介しています。
サモエドについてよくある質問
寿命はどのくらい?
石井獣医師監修の解説では、平均10〜13歳くらいとされていました。
番犬になる?
FCIの犬種標準には「とても社交的で、番犬としては使えない」と書かれています。
毛色は白だけ?
純白、クリーム、白にビスケット色が少し入るものが認められています。
夏はサマーカットしたほうがいい?
被毛をカットすると皮膚が紫外線にさらされるので、すすめられないとする解説があります。暑さ対策は、エアコンと散歩の時間帯の工夫で考えたいところです。
日本スピッツとの違いは?
大きさがいちばん違います。サモエドは体高50cm台の大型の犬で、日本スピッツは30cm台です。
あんず
あんずもお友だちになって、にこにこ並んでお昼寝したいもん!
ハル
これで26犬種目。日本スピッツの記事での約束も、これで果たせたよ。



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