国際畜犬連盟(FCI)の犬種標準を読んでいて、思わず笑ってしまった一文がありました。毛色はいろいろあってよいのに、「しっぽの先は白」とだけは、はっきり決められていたのです。
この記事では、FCIの犬種標準、ジャパンケネルクラブ(JKC)の登録数、農林水産省の広報誌、獣医師監修の解説や動物病院の情報をたどりながら、歴史・性格・吠え声と鼻・お世話・かかりやすい病気・迎え方までをまとめました。
ハル
においをたどって、野ウサギを追いかけていた猟犬なんだって。
あんず
おやつのにおいなら、どこにあっても見つけられるの!
レオ
食いしん坊なところは、あんずと気が合いそうだね。
タル吉
わしの甲羅も、ポケットに入ったのはずいぶん昔の話じゃのう。
ハル
じゃあ、ビーグルの歴史から紹介していくね。
ビーグルってどんな犬?野ウサギを追うイギリスの小さな猟犬
FCIの犬種標準の「歴史」の項目によると、ビーグルは大きなフォックスハウンドを小さくして作られ、徒歩の狩人といっしょに、主に野ウサギを狩った犬だと言われています。においをたどって獲物を追う「嗅覚ハウンド(セントハウンド)」の仲間です。
同じ項目には、こんな話もありました。ヘンリー8世とエリザベス1世の時代には、狩猟用の上着のポケットに入るほど小さなビーグルもいたそうです。いまは体が大きくなりましたが、「ポケット・ビーグル」と呼ばれる小さな子が今でもときどき生まれるとも書かれていました。
体重は犬種標準では決められていません。ワンクォールで石井香絵獣医師が監修した解説では、オス約10〜11kg、メス約9〜10kgが目安とされていました。
JKCの2025年の犬籍登録頭数では、ビーグルは1,973頭で第27位でした。
ビーグルの鼻と吠え声|空港で働く検疫探知犬にも
農林水産省の広報誌(aff 2020年2月号)では、空港で手荷物の中の肉製品や果物など、検疫の対象品をかぎ分ける「検疫探知犬」が紹介されていました。選ばれるビーグルは「嗅ぎまわることが好きで、物怖じせず、人なつっこい性格」で、小さくて愛らしい姿が旅客に威圧感を与えないのもメリットだそうです。記事に登場する犬は、アメリカ生まれで、保護施設にいたところをスカウトされ、訓練を受けて探知犬になったと書かれていました。

においを追うときのビーグルらしい姿です。
よく通る大きな声で吠える
石井獣医師監修の解説では、ビーグルはよく通る大きな声で吠えるのが特徴とされていました。集合住宅で迎えるなら、吠えへの備えは最初から考えておきたいところです。
気になるにおいがあると、ほかのことが聞こえなくなる
同じ解説では、気になるにおいがあると集中力が散漫になること、拾い食いや破壊行動の悩みが多いことも挙げられていました。散歩中に地面に鼻をつけたまま動かなくなるのは、ビーグルにとっては本業のようなものなのかもしれません。
ビーグルの性格|陽気で人なつこい、でも寂しがり屋
FCIの犬種標準の性格の項目を訳すと、こう書かれていました。「陽気な猟犬で、本来の役目は、においをたどって主に野ウサギを狩ること。大胆で、とても活発で、スタミナと粘り強さがある。注意深く、賢く、気質は安定している。人なつこく、攻撃性や臆病さは見せない」。
石井獣医師監修の解説では、明るくて元気な性格で遊び好き。いっぽうで寂しがり屋で、分離不安になりやすいとされていました。オスのほうがより活発で甘えん坊な傾向があるそうです。
初心者に向く?
同じ解説では、ビーグルは「初心者向きとはいいにくい犬種」とされ、適切なしつけが欠かせないと書かれていました。エネルギッシュなビーグルの運動の欲求と、愛情の欲求の両方を満たしてあげられる人に向いている、とのことです。性格には個体差があるので、あくまで一般にそう言われている、というお話です。
寂しがり屋という点は、わが家のあんずにも思い当たるところがあります。シーズーのお留守番の記事で書いたように、あんずが夕方から私の帰りを待っている様子を書きました。ビーグルを迎えるなら、留守番の練習は子犬のうちから少しずつ、が大事になりそうです。
ビーグルのお世話|運動・耳のお手入れ・抜け毛
たっぷりの運動と、頭を使う遊び
石井獣医師監修の解説では、散歩やジョギングなどアクティブな活動が必要とされていました。においをかぐのが大好きな犬種なので、散歩でにおいをかぐ時間をとってあげたり、おやつを探す遊びを取り入れたりするのも楽しそうです。おやつ探しの遊びは知育玩具の記事でも試しています。
🐾 食いしん坊さんに「早食い防止の食器」、拾い食い・いたずら対策に「ロック付きのゴミ箱」
においに敏感でよく食べる犬との暮らしで役立ちそうな道具の一例です(わが家の使用品の紹介ではありません)。ゴミ箱は人の手でもロックを外す作りなので、置き場所と合わせて工夫してください。
垂れ耳は蒸れやすい。梅雨はとくに耳のお手入れを
FCIの標準では、耳は長くて先が丸く、引っぱると鼻先近くまで届くほど。低い位置から頬にそって垂れています。石井獣医師監修の解説では、垂れた耳で通気性が悪くなり、外耳炎になりやすいので、梅雨の時期はとくに耳のお手入れに注意とされていました。
短い毛でも、抜け毛は多い
被毛は短くても、石井獣医師監修の解説では二層構造のダブルコートで抜け毛が多いとされ、毎日のこまめなブラッシングがすすめられていました。「短い毛だから抜けない」わけではないんですね。
散歩の時間や運動量は個体差があります。子犬やシニア、持病のある子は、かかりつけの先生に相談しながら決めてください。
ビーグルがかかりやすい病気|腰・耳・目
獣医師監修の解説や動物病院の情報で、ビーグルに多いと挙げられていた病気をまとめました。
腰の病気、椎間板ヘルニア
石井獣医師監修の解説では、椎間板ヘルニアは飛び出した椎間板が脊髄を圧迫して、脚の麻痺や痛みが出る病気とされていました。三鷹獣医科グループの解説でも、腰の神経が圧迫されて運動障害が出る「椎間板変性」が挙げられています。アニコム損保の獣医師監修の解説では、若いうちから椎間板が傷みやすい軟骨異栄養性犬種のひとつにビーグルも挙げられていて、ミニチュアダックスの記事でも出てきた病気です。段差を嫌がる、抱っこで鳴く、後ろ足がふらつく、といった変化には早めに気づきたいです。
目頭が赤くぷっくり、チェリーアイ
石井獣医師監修の解説では、チェリーアイは目頭の内側にある瞬膜(第三まぶた)が赤く丸く腫れて出てくる状態とされていました。アニコム損保の解説でも、ビーグルがかかりやすい病気として挙げられています。
目の痛みと見えにくさ、緑内障
三鷹獣医科グループの解説では、ビーグルの原発性緑内障は目に痛みが出て、視力に障害が起こる病気、進行性網膜萎縮は夜に目が見えにくくなり、進むと失明する病気とされていました。暗い場所で物にぶつかる、目をしょぼしょぼさせる、といった様子が続いたら相談したいところです。
ここに挙げたのはあくまで気づくためのきっかけで、診断ではありません。あてはまるところがあっても自己判断はせず、気になる様子があれば動物病院に相談してください。
ビーグルの毛色|「しっぽの先は白」が決まり
FCIの犬種標準で認められている毛色は、次の11種類です。
- トライカラー(黒・タン・白)
- ブルー・白・タン
- バジャー・パイド、ヘア・パイド、レモン・パイド(白地に色がまだらに入るもの)
- レモン&ホワイト、レッド&ホワイト、タン&ホワイト、ブラック&ホワイト
- オールホワイト(全身白)
オールホワイト以外は、どの色でも細かい斑点が散る「モットル」があってよく、これ以外の色は認められていません。そして最後に、「しっぽの先は白」。どんな色のビーグルでも、しっぽの先だけは白、というのが決まりです。

レッド&ホワイト、オールホワイト。しっぽの先はみんな白。
しっぽは高い位置からついていて、陽気に持ち上げるものの、背中に巻いたり、前に倒れたりはしないとされていました。においを追うとき、鼻は地面に、しっぽは高く。その先がいつも白い、というわけです。
ビーグルを迎えるときに知っておきたいこと
「8週齢」のルール
環境省が定める動物愛護管理法では、繁殖業者が生まれてから56日(8週齢)を過ぎない子犬を、販売のために引き渡したり展示したりすることは禁止されています(令和3年6月1日施行)。
迎え方の3つの道
子犬の価格は時期やお店によって変わります。検討される際はご自身で最新の情報を確認してください。
わが家の視点|シーズーのあんず、トイプードルのレオと比べてみた
ビーグルの望ましい体高は33〜40cm。シーズーの犬種標準は27cm以下、トイプードルは24cm超〜28cmなので、ビーグルのほうがひと回り大きく、がっしりしています。

ビーグルのほうがひと回り大きく、がっしりしています。
3匹とも垂れ耳なのは同じです。耳の蒸れやすさは、わが家でも気にしているところ。いっぽう被毛は、伸び続けてカットが必要なあんずとレオに対して、ビーグルは短い毛がたくさん抜けるタイプ。お手入れの大変さの種類がまるで違います。
よく動き、においを追い、よく食べる。同じ猟犬の仲間なら、ジャックラッセルテリアの記事も参考になると思います。
ビーグルについてよくある質問
寿命はどのくらい?
石井獣医師監修の解説では、平均12〜15歳とされていました。
よく吠える?
よく通る大きな声で吠える、とする解説が多くありました。集合住宅では、吠えへの備えを最初から考えておきたい犬種です。
初心者でも飼える?
獣医師監修の解説では「初心者向きとはいいにくい」とされていました。運動と、いっしょに過ごす時間をたっぷりとれるかがポイントです。
毛色は何色?
トライカラーのほか、レモン&ホワイト、レッド&ホワイト、全身白など11種類が認められていて、しっぽの先はどの色でも白です。
抜け毛は多い?
被毛は短いですが、ダブルコートで抜け毛は多いとされています。こまめなブラッシングがすすめられています。
あんず
いっしょに、おやつ探し競争したいな!
ハル
これで24犬種目。白いしっぽの先、街で見かけたら探してみてね。



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