ミニチュアピンシャーとイタリアングレーハウンドの違いは?耳・大きさ・性格

つるんと短い毛に、細い脚。ミニチュア・ピンシャー(ミニピン)とイタリアン・グレーハウンド(イタグレ)は、並ぶとよく似た小型犬です。

ところが犬種標準を読むと、ミニピンはドイツの「ピンシャーとシュナウザー」、イタグレはイタリアの「サイトハウンド」と、まったく別の仲間でした。ミニピンの成り立ちには、イタグレも交配されたと紹介されています。

この記事では、犬種図鑑で調べた2犬種の大きさ・耳と毛色・性格・寒さと運動・気をつけたい病気の違いを表でまとめます。

ハル

ミニピンとイタグレ、どっちも毛が短くて細い脚の小型犬だよね。
犬種図鑑の記事を並べて、違いを調べてみたよ。

あんず

どっちもすらっとしてて、かっこいいの!
でも、お耳の形がちがうの!

レオ

ミニピンは耳がぴんと立っていて、イタグレはふだん耳を後ろに寝かせているんだ。
生まれた国も、ドイツとイタリアでちがうんだよ。

タル吉

ふむ……似ておっても、もとの仕事がちがうのじゃな。
ネズミ捕りの犬と、走る犬か。

ハル

そうなんだ。どっちも寒さに弱いのは同じだったよ。
じゃあ、表から順番に見ていこうね。

ミニピンとイタグレの違いを表で比較|大きさ・原産・分類

国際畜犬連盟(FCI)の犬種標準と、ジャパンケネルクラブ(JKC)の2025年の登録頭数を並べました。

数字は、犬種図鑑の各記事(ミニチュア・ピンシャー・イタリアン・グレーハウンド)で調べたものです。

ミニチュア・ピンシャー イタリアン・グレーハウンド
原産 ドイツ イタリア
分類(FCI) 第2グループ「ピンシャーとシュナウザー」 第10グループ「サイトハウンド」の短毛種
用途 家庭犬、コンパニオン・ドッグ レーシング・ドッグ
体高 25〜30cm オス・メスとも32〜38cm
体重 4〜6kg オス・メスとも最高5kg
被毛 短く密で、なめらかで、つやがある 全身が短く、絹のようで細い。飾り毛はない
JKC登録(2025年) 2,981頭・第22位 3,234頭・第20位
平均寿命 14.3歳 14.6歳

平均寿命は、アニコム損保の2021年度のデータ(家庭どうぶつ白書2023)によるものです。

体重はほとんど同じなのに、背の高さはイタグレのほうが上でした。イタグレは体高32〜38cmで体重は最高5kg。背は高いのにとても軽いのがこの犬種の形で、体高が32cm未満、または38cmを超える犬は失格とまで決められています。ミニピンは体高25〜30cmで、体はできるだけ正方形に近いのが理想とされていました。

日本での登録はほぼ同じくらいで、イタグレが20位、ミニピンが22位と並んでいます。

生まれと歴史の違い|ドイツの農場の犬と、ファラオの宮廷の犬

ミニピンの起源は1700年代のドイツ。農場でネズミ捕りや番犬として活躍していたそうです。見た目から「ドーベルマンの子」と勘違いされることが多いものの、実はドーベルマンよりも前に誕生していて、同じジャーマン・ピンシャーを祖先に持つため似ているだけ、と獣医師監修の解説にありました。FCIの犬種標準では「ジャーマン・ピンシャーを小さくした姿」とされています。

イタグレは、古代エジプトのファラオの宮廷にすでにいた小型のサイトハウンドの子孫です。ギリシャを通って紀元前5世紀の初めにイタリアへ渡り、ルネッサンス時代の貴族の宮廷でいちばん発展した、とFCIの標準に書かれていました。小型化や第二次世界大戦の影響で一時は絶滅の危機にあり、それを救ったのはアメリカに渡っていたイタグレたちだったそうです。

おもしろいのは、ミニピンの成り立ちについて、ダックスフンドやイタリアン・グレーハウンドも交配されたと紹介されていたことです。似ているのには、そんな理由もあるのかもしれません。

赤茶色の単色のミニチュア・ピンシャーと、黒に赤茶色の模様のブラック&タンのミニチュア・ピンシャーを並べたイラスト
ミニピンは耳がぴんと立った、胸を張った立ち姿。
左は赤の単色、右はブラック&タンです。

耳と毛色の違い|見分けるならここ

ミニチュア・ピンシャー イタリアン・グレーハウンド
耳 ぴんと立っている ふだんは後ろに寝かせ、何かに注意を向けると横へ張り出す(プロペラ耳)
毛色 赤の単色(鹿のような赤〜濃い赤茶色)、ブラック&タン ブラック、グレー、イザベラの単色。白は胸と足だけ
歩き方・走り方 トロッター(速歩の犬) 目で獲物を見つけて走るサイトハウンド

いちばん分かりやすいのは耳です。ミニピンの耳はぴんと立ち、イタグレはふだん耳を折りたたんで、うなじのほうへ後ろに寝かせています。イタグレは何かに注意を向けると耳の付け根が立ち上がって先が横へ張り出し、「フライング・イヤー」や「プロペラ・イヤー」と呼ばれる形になります。

毛色もちがいます。ミニピンのブラック&タンは、目の上、のどの下、足首、足先などに模様が入り、胸に左右そろった2つの三角形があるのが目印。イタグレは単色が基本で、白が許されるのは胸と足だけ、色がいくつも混ざった毛は失格とされていました。

耳を後ろに寝かせたイタリアン・グレーハウンドと、耳が横に張り出したプロペラ耳のイタリアン・グレーハウンドを並べたイラスト
左はふだんの寝かせた耳、右は何かに気づいたときの「プロペラ耳」。
立ち耳のミニピンとは、ここで見分けられます。

性格の違い|大胆なミニピン、繊細なイタグレ

ミニチュア・ピンシャー イタリアン・グレーハウンド
犬種標準の性格 活発で、元気いっぱい、自信があり、気分が安定している 陽気で、愛情豊かで、従順
解説でよく言われること 小さいながら大胆で恐れを知らない。よく吠えて異常を知らせる 穏やかで優しい。内気で繊細な一面もある
しつけ 子犬のころからのしつけと社会化が大切 繊細なので厳しいしつけは禁物

性格の書かれ方は、かなりちがいました。ミニピンは自分より大きな相手にもひるまず立ち向かう強い性格とされ、見知らぬ相手には吠えたり攻撃的になったりすることもあるそうです。ネズミ捕りと番犬の仕事をしていた歴史が、そのまま性格に残っているのかもしれません。

イタグレは子どもやほかのペットとも仲良くできる子が多い一方、ストレスをためてしまう子もいるとされていました。乱暴な言葉や体罰は絶対に避け、穏やかに冷静に進めること。賢い犬なので覚えるのも早い、とのことです。

性格には個体差があるので、あくまで一般にそう言われている、というお話です。

お世話の違い|どちらも寒さに弱く、イタグレは走る場所がほしい

ミニチュア・ピンシャー イタリアン・グレーハウンド
寒さ 毛が短く、筋肉質で脂肪が少ないため弱い 毛が短くて薄いため、とても苦手
運動 毎日短時間でも散歩。頻繁なジャンプは骨や関節のトラブルの原因に まとまった運動量。ドッグランのように全力で走れる場所で
ブラッシング 短い毛でも定期的に 週に1〜2回
全身のカット 必要なし 必要なし
散歩で気をつけること 元気に跳ね回る子ほど、段差や滑る床に注意 動くものを追いかけるのでリードをしっかり。首が細いので幅の広い首輪を

どちらも寒さ対策がいちばん大事な犬種でした。冬は服を着せ、散歩や夜の寝床の温度に気を配ることがすすめられています。

運動のさせ方はちがいます。ミニピンは毎日短時間でも散歩をすることがすすめられている一方、イタグレは全力で走れる場所で遊ばせることがすすめられ、ルアー(疑似餌)を追いかけて走る「ルアー・コーシング」というドッグスポーツも紹介されていました。ただし動くものを見ると追いかけてしまう傾向があるので、散歩ではリードをしっかり持つ必要があります。

イタグレは首がとても細いため、散歩で引っ張ると首に負担がかかるそうです。引っ張らないしつけと、幅の広い首輪がすすめられていました。

ハル

イタグレの骨折のこと、くわしくはこちら🐕
折れやすい前足の骨と、家の中でできる予防をまとめました。

かかりやすい病気の違い|イタグレは骨折、ミニピンは成長期の股関節

病気 ミニチュア・ピンシャー イタリアン・グレーハウンド
膝蓋骨脱臼(パテラ) ○ ○
骨折 ○ ○(小型犬の中でとくに多い)
白内障 ○ ○
レッグ・カルベ・ペルテス病 ○ —
糖尿病 ○ —
皮膚の病気 皮膚糸状菌症・アレルギー性皮膚炎、耳介辺縁皮膚症 カラー・ダイリューション脱毛、パターン脱毛
歯周病 — ○
緑内障・てんかん — ○
気管虚脱 — ○

「○」は、図鑑の記事で気をつけたい病気として挙げたものです。

イタグレは骨折が多い犬種です。「家庭どうぶつ白書2018」のデータでは、小型犬の中でもイタリアン・グレーハウンドの骨折が多いとされていました。折れやすいのは前足の手首から肘までの骨で、生後6〜11か月の成長期に、ソファからのジャンプの着地失敗や抱っこ中の転落で起きることがほとんどだそうです。

ミニピンで気をつけたいのは、股関節の骨が壊死するレッグ・カルベ・ペルテス病。発症しやすいのは生後6〜11か月ごろで、後ろ足を引きずる、かばう様子に気づいたら早めの受診がすすめられていました。どちらも子犬のうちは、滑る床と段差に気をつけてあげたいですね。

ここに挙げたのはあくまで気づくためのきっかけで、診断ではありません。気になる様子があれば動物病院に相談してください。

ミニピンとイタグレ、よくある質問

Q. ミニピンとイタグレ、どっちが大きい?
A. 背が高いのはイタグレで、体高32〜38cm。ミニピンは25〜30cmです。体重はミニピンが4〜6kg、イタグレが最高5kgで、ほとんど変わりません。

Q. 見分け方は?
A. 耳を見ると分かります。ミニピンは耳がぴんと立ち、イタグレはふだん耳を後ろに寝かせています。毛色も、ミニピンは赤の単色かブラック&タン、イタグレはブラック・グレー・イザベラの単色です。

Q. ミニピンはイタグレの仲間?
A. FCIの分類では、ミニピンは第2グループの「ピンシャーとシュナウザー」、イタグレは第10グループの「サイトハウンド」で別の仲間です。ただ、ミニピンの成り立ちにはイタグレも交配されたと紹介されています。

Q. どちらが寒さに弱い?
A. どちらも毛が短く、寒さに弱い犬種です。冬は服や寝床の暖かさで調整してあげてください。

ハル

似ている犬種くらべ、小型犬どうしも🐕
チワワとポメラニアンを表で比べました。

あんず

ぴんと立った耳がミニピンちゃん、寝かせた耳がイタグレちゃんだね!
あんずも、寒い日はきゅっとまるくなって寝るの!

ハル

見た目は似ていても、生まれも仕事もちがう2犬種だったね。
次も、似ている犬種どうしを比べてみるね。

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