ラサ・アプソとシーズーの違いは?性格・顔・被毛をシーズーの飼い主が調べた

長い毛に、垂れた耳。シーズーにそっくりな小型犬、ラサ・アプソです。
ジャパンケネルクラブ(JKC)の犬種紹介には「シー・ズーの直接の祖先犬である」と書かれています。シーズーのあんずと暮らすわたし(ハル)としては、読まずにはいられない犬種でした。そして、シーズーの国際的な犬種標準には「アプソとシーズーは混同されがちだが、はっきりした違いがいくつもある」とまで書かれていました。
この記事では、2つの犬種標準を並べて違いを比べ、獣医師監修の解説から性格・お世話・かかりやすい病気・迎え方までをまとめました。

ハル

今日はラサ・アプソのことを調べてきたよ。
チベット生まれの小さな犬で、じつはシーズーのご先祖さまなんだって。

あんず

あんずのご先祖さま!?
じゃあ、あんずとそっくりなの?会ってみたいもん!

レオ

見た目は似ているけど、犬種標準を読むと違うところがたくさんあるんだよ。
鼻の長さも、性格も、ちょっとずつ違うみたいだね。

タル吉

ふむ……高い山の寺で、2000年も人のそばにおったそうじゃ。
わしより長生きの家系じゃのう。

ハル

タル吉、張り合わなくていいよ(笑)
じゃあ、ラサ・アプソがどんな犬か、シーズーと比べながら紹介していくね。

ラサ・アプソってどんな犬?チベットの「お守り犬」でシーズーの祖先

ジャパンケネルクラブ(JKC)の犬種紹介によると、ラサ・アプソは約2000年の歴史があるといわれる、とても古い犬種です。チベットの当時の首都ラサで、ラマ教の寺院の僧侶や貴族に飼われ、幸福を招く魔除けの犬と信じられていたそうです。「アプソ」はチベット語で「山羊に似ている」という意味とされています。

1920年代にヨーロッパへ渡り、1929年にイギリスのドッグショーで「オリエンタル・タリズマン・ドッグ(東洋のお守り犬)」として紹介されて人気になりました。そしてJKCの紹介には、はっきりと「シー・ズーの直接の祖先犬である」と書かれていました。

高い山の寒さから身を守る長い毛

国際畜犬連盟(FCI)の犬種標準には、ラサ・アプソは標高が高く気候の厳しいチベットの出身で、その環境に耐える丈夫な小型犬である必要があった、と書かれています。長く硬い上毛と密な下毛は冬の断熱材になり、目にかかる毛は風やほこり、まぶしさから目を守るのだそうです。

イギリスに来たばかりのころは、ほかの毛の長い東洋の犬とまとめて「ラサ・テリア」と呼ばれ、混同されていたとも書かれていました。

項目 ラサ・アプソの犬種標準(JKC・FCI)
原産国 チベット(中国)
分類 愛玩犬(FCI第9グループ・チベットの犬種)
体高 オス 約25cm(JKC 25.4cm)、メスはそれよりわずかに小さい
体重 規定なし
被毛 上毛は長く、重く、まっすぐで硬い(羊毛状でも絹糸状でもない)。下毛は中くらい
毛色 ゴールデン、サンディ、ハニー、ダーク・グリズル、スレート、スモーク、パーティ・カラー、ブラック、ホワイト、ブラウン(どれも同じように認められる)

JKCの2025年の犬籍登録頭数では、ラサ・アプソはわずか6頭(112位)でした。子孫にあたるシー・ズーは7,930頭(10位)なので、日本では子孫のほうがずっと身近な犬になっています。

ラサ・アプソとシーズーの違い|犬種標準で比べてみた

マズルが少し長く目がやや小さいラサ・アプソと、マズルが短く目が大きく丸いシーズーの顔を並べて比べたイラスト
左がラサ・アプソ、右がシーズー(あんず)のイメージ。
鼻の長さと目の形がいちばんの見分けどころです。

おもしろいのは、シーズーのFCI犬種標準そのものに「アプソとシーズーは混同されがちだが、はっきりした違いがいくつもある」と書かれていることです。そこで、2つの犬種標準を並べてみました。

比べるところ ラサ・アプソ シーズー
鼻(マズル) 約4cm。頭の長さの約3分の1 約2.5cm。幅が広く四角く短い
頭の形 やや細め 幅が広く丸い
目 中くらいの楕円形。大きすぎず出っぱらない 大きく丸い。離れてついている
かみ合わせ 上の前歯が下の前歯のすぐ内側(逆シザーズ) わずかに受け口、または切端咬合
毛の手ざわり まっすぐで硬い。羊毛状でも絹糸状でもない 長く密。縮れない(少しのウェーブは可)
顔の毛 目にかかるように垂れる(ただし見えること) 鼻の上の毛が上向きに生え「菊の花」のよう。頭の毛は結ぶことが強くすすめられる
体高 オス約25cm 27cm以下
体重 規定なし 4.5〜8kg
性格 陽気で自己主張がある。見知らぬ人にはややよそよそしい 知的で活発、注意深い。友好的で独立心がある

見分けるなら、まずは鼻の長さです。獣医師の葛野宗先生の犬種解説でも、ラサ・アプソはシーズーより少しマズルが長いと紹介されていました。もうひとつは毛の手ざわりで、ラサ・アプソは「硬い」毛、シーズーは長く密な毛です。

シーズーは、チベットにルーツを持ち、中国の宮廷で発展した犬種です(FCI犬種標準)。ペキニーズとシーズーの違いはペキニーズとシーズーの違いの記事にまとめています。

ラサ・アプソの性格|陽気で誇り高く、知らない人には用心深い

JKCの犬種標準では、性格は「陽気で、自尊心がある。用心深く、落ち着いている。見知らぬ者に対してはいくらか無関心である」とされています。

ヤマザキ動物看護大学の福山貴昭准教授が監修した解説(カインズ「ワンクォール」)では、陽気でプライドが高く、飼い主には愛情深いいっぽう、家族以外の人には用心深く甘えるタイプではないこと、頑固で短気なところがあり、警戒心が強いので吠えやすいことが紹介されていました。見た目のかわいさとは少し違う、芯のある性格のようです。

初めて犬を飼う人に向く?

家族への愛情が深い一方で、頑固さと警戒心の強さがあり、毎日のブラッシングも欠かせません。「シーズーに似ているから同じように飼える」と考えず、子犬のころから人やほかの犬に慣らすことと、ほめて教えるしつけを続けられるかを考えておきたい犬種です。性格には個体差があるので、あくまで一般にそう言われている、というお話です。

シーズーの賢さや性格については、シーズーの頭の良さの記事でも紹介しています。

ラサ・アプソのお世話|毎日のブラッシングと暑さ対策

福山准教授監修の解説では、お世話の目安は次のとおりでした。

  • 散歩:1日30分程度
  • ブラッシング:毎日
  • シャンプー:1か月に1回程度

被毛は重く、まっすぐで硬い手ざわりのダブルコート。葛野宗獣医師の犬種解説でも、毛玉ができると皮膚の病気につながるので、こまめなブラッシングが必要とされていました。同じ長毛のシーズーのトリミングの頻度は、シーズーのトリミング頻度の記事にまとめています。

高い山の犬なので、日本の夏に注意

寒さに耐えるための厚い毛を持つ犬なので、日本の蒸し暑い気候は苦手とされています。夏はエアコンで室温を保ち、散歩は早朝や夜の涼しい時間にしてあげましょう。

目にかかる毛

犬種標準では、目にかかる毛は「風やほこりから目を守る」ものとされる一方、「見えることを妨げない」ことも書かれています。家庭では、目に毛が入って涙や目やにが増えていないか、ときどき顔をのぞいてあげたいですね。

ラサ・アプソがかかりやすい病気|皮膚・耳・目・腎臓

福山准教授監修の解説とアニコム損保の犬種紹介では、ラサ・アプソで気をつけたい病気として外耳炎、皮膚炎(膿皮症・アトピー性皮膚炎)、股関節形成不全が挙げられていました。ワンクォールの解説では、暑さが苦手なことから熱中症にも注意するよう書かれています。

病気 家庭で気づけるサイン
外耳炎 頭を激しく振る、耳を足でかく、耳のにおい
皮膚炎(膿皮症・アトピー性皮膚炎) 体をかく・なめる、皮膚の赤み、ブツブツ
熱中症 口を開けてハアハアする呼吸が激しい、体が熱い
股関節形成不全 成長期の歩き方の異常、痛がる
チェリーアイ 目頭が赤くふくらむ、目やにや涙が増える、目をこする
慢性腎臓病(家族性腎症) 水をたくさん飲む、おしっこの量が増える

チェリーアイは「若いうち」に急に出る

眼科を専門にする東京ウエスト動物病院の解説では、チェリーアイ(第三眼瞼腺の脱出)が多い犬種として、シーズー、ペキニーズなどとあわせてラサ・アプソが挙げられていました。生後6か月〜2歳くらいに多く、ある日突然目頭に赤いふくらみが出ることが多いそうです。

この腺は涙を作る大切な場所なので、切り取らずに元の位置に戻す手術がすすめられていました。目頭が赤くふくらんでいたら、自分で押し戻そうとせず、早めに動物病院へ。

水を飲む量が増えたら

葛野宗獣医師の慢性腎不全の解説では、遺伝的な要因で起こる家族性腎症の好発犬種として、ラサ・アプソとシーズーが挙げられていました。腎臓のはたらきが落ちはじめたときの最初のサインは、水をたくさん飲み、おしっこが増える(多飲多尿)ことだそうです。

同じ解説では、顔の構造によって鼻の穴(鼻腔)がせまい個体もいること、口で呼吸する様子が続くときは注意することも書かれていました。

ここに挙げたのはあくまで気づくためのきっかけで、診断ではありません。あてはまるところがあっても自己判断はせず、気になる様子があれば動物病院に相談してください。

ラサ・アプソを迎えるときに知っておきたいこと

JKCの登録が年に6頭ほどの、とても珍しい犬種です。ペットショップで見かけることは少なく、ブリーダーを探して子犬の誕生を待つことになりそうです。価格もそのときどきで変わるので、検討される際はご自身で最新の情報を確認してください。

「8週齢」のルール

環境省が定める動物愛護管理法では、繁殖業者が生まれてから56日(8週齢)を過ぎない子犬を、販売のために引き渡したり展示したりすることは禁止されています(令和3年6月1日施行)。

わが家の視点|シーズーのあんずと比べてみた

ラサ・アプソと、シーズーのあんず、トイプードルのレオを同じ床に並べて大きさを比べたイラスト
ラサ・アプソと、あんず(シーズー)、レオ(トイプードル)。
3匹とも、ほとんど同じ高さです。

体高はラサ・アプソがオス約25cm、シーズーが27cm以下、トイプードルが24cm超〜28cm。わが家の2匹とほぼ同じ高さです。

あんずの顔を思いうかべながら犬種標準を読むと、短い鼻と大きな丸い目はシーズーらしさそのもので、ラサ・アプソはそこから少し鼻が長く、目が小さめの顔なのだと分かりました。性格も、シーズーの「友好的」に対して、ラサ・アプソは「見知らぬ人にはややよそよそしい」。ご先祖さまは、ちょっとクールな番犬タイプだったようです。

それでも、チェリーアイや家族性腎症のように、シーズーと同じ病気の名前が並ぶのは、やっぱり親せきなんだなと感じました。あんずの犬種についてはシーズーの性格と飼いやすさで調べています。

ラサ・アプソについてよくある質問

ラサ・アプソとシーズーの違いは?

ラサ・アプソはシーズーの祖先犬です。犬種標準では、ラサ・アプソのほうが鼻(マズル)が長く(約4cmと約2.5cm)、目は中くらいの楕円形、毛は硬い手ざわり。性格は、シーズーが「友好的」、ラサ・アプソは「見知らぬ人にはややよそよそしい」とされています。

大きさはどのくらい?

体高はオスで約25cm、メスはそれよりわずかに小さめです。体重の規定はありません。

日本で飼っている人は多い?

JKCの2025年の登録は6頭(112位)で、とても珍しい犬種です。

かかりやすい病気は?

外耳炎や皮膚炎、股関節形成不全のほか、チェリーアイ、家族性腎症に気をつけたい犬種とされています。

この記事で参考にした主な情報

あんず

ご先祖さまは、ちょっとクールだったの!?
あんずは、だれにでも「こんにちは」しちゃうもん!

ハル

ふふ、あんずはシーズーの「友好的」そのものだね。
これで41犬種目。次はどの犬種を調べようかな。

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