国際畜犬連盟(FCI)の犬種標準を開くと、肘のすぐ後ろの胸まわりが「両手でつかめるくらい、約40〜43cm」と書かれていました。キツネの巣穴にもぐって追い出す猟犬として作られた犬なのです。そして、生まれはイギリスなのに、犬種として作り上げた国はオーストラリアとされていました。
この記事では、FCIの犬種標準、ジャパンケネルクラブ(JKC)の登録数、獣医師や動物病院の解説をたどりながら、歴史・3つの被毛・性格・運動量・かかりやすい病気・迎え方までをまとめました。
ハル
もとはキツネの巣穴にもぐる猟犬なんだって。
あんず
ジャックちゃんって、どれくらい元気なの?
レオ
巣穴に入れる細さが大事だったんだね。
タル吉
わしの甲羅も、身を守る仕事のための形じゃよ。
ハル
毎日どのくらい運動が必要なのかも調べたよ。
ジャック・ラッセル・テリアってどんな犬?キツネ狩りから生まれたテリア
FCIの犬種標準によると、ジャック・ラッセル・テリアは1800年代のイギリスで、ジョン・ラッセル牧師の手によって生まれました。キツネ狩りの猟犬(フォックスハウンド)と一緒に走り、巣穴にもぐってキツネなどの獲物を追い出す犬が必要で、フォックス・テリアの系統を改良したそうです。
やがて、基本は同じでも体高と体つきの違う2つのタイプに分かれました。背が高く正方形に近い体つきのほうがパーソン・ラッセル・テリア、背が低く少し胴が長いほうがジャック・ラッセル・テリアです。FCIの標準では、原産国はイギリス、犬種として発展させた国はオーストラリアとされていました。
体重が「体高5cmにつき1kg」と、体高から計算する形で書かれているのが面白いところです。JKCの2025年の犬籍登録頭数では、ジャック・ラッセル・テリアは3,230頭で第21位でした。
「両手でつかめる胸」|犬種標準に書かれた猟犬の体つき

巣穴に入るための体つきだそうです。
FCIの犬種標準の体の説明には、こんな一文がありました。「肋骨は背骨からよく張り出し、横は平らになって、肘のすぐ後ろの胸まわりを両手でつかめるくらい(約40〜43cm)」。胸は幅よりも深さがある形で、地面からの高さの中間あたりに胸の底がくるのが理想とされていました。
もとの仕事は、巣穴にもぐってキツネを追い出すこと。太すぎる胸では穴に入れません。体の形そのものに、仕事の条件が書き込まれているのが印象的でした。ダックスフンドを調べたときも、サイズが体重ではなく「胸囲」で決まっていて、同じように巣穴の仕事から来ていました。
ほかにも、歩き方は「まっすぐで、自由で、弾むよう」、しっぽは動くときにはぴんと立つこと、そして被毛は「雨や風に強くなければならない」と書かれています。外で働く犬らしい言葉が並んでいました。
ジャック・ラッセル・テリアの3つの被毛|スムース・ブロークン・ラフ

同じ犬種でも、毛の質でずいぶん印象が変わります。
ジャック・ラッセル・テリアの被毛には、3つのタイプがあります。ヤマザキ動物看護大学の福山貴昭准教授が監修した解説(日本全薬工業「ハグわん」)では、次のように紹介されていました。
FCIの標準には、「スムースやブロークンに見せるために、毛を抜いて整えてはいけない」とも書かれていました。ありのままの毛で評価される犬種なんですね。お手入れは、福山准教授監修の解説で週2〜3回のブラッシングがすすめられていました。毛が伸び続けるレオやあんずのように、定期的な全身カットが必要な犬種ではありません。
ジャック・ラッセル・テリアの性格|大胆で怖いもの知らず
FCIの犬種標準には、性格が「生き生きとして、注意深く、活発。鋭く利口な表情。大胆で怖いもの知らず、友好的だが、静かな自信がある」と書かれています。
福山准教授監修の解説では、好奇心旺盛で遊び好きな一方、狩猟犬の資質を受け継いでいるため、無駄吠えや、小さな動物を追いかける習性があるとされていました。しっかりしつければ従順になるとのことで、生後3〜12週のころからのしつけ(社会化)が大切だそうです。
わが家にはリクガメのタル吉がいるので、「小さな動物を追いかける習性」の一文はちょっとドキッとしました。ほかの小動物と暮らす家では、とくに気をつけたいポイントだと思います。性格には個体差があるので、あくまで一般にそう言われている、というお話です。
ジャック・ラッセル・テリアのお世話|運動量は小型犬のなかでも多め
散歩は朝夕30分ずつが目安
福山准教授監修の解説では、毎日朝夕30分程度の散歩を欠かさず、ドッグランなどで思いきり走らせることもすすめられていました。スタミナのある犬種なので、体が小さいからといって運動が少なくていいわけではありません。
わが家のレオも、若いころは草むらや川辺をぐんぐん歩く冒険家でした。今はのんびり派になりましたが、外の空気にふれると目がキラキラします。体を動かすのが好きな犬にとって、散歩は何よりのごちそうなんですよね。
噛む対策と、滑る床の対策
同じ解説では、噛み防止の対策と滑り止めの対策も挙げられていました。エネルギーがあり余ると、家具やコードを噛んでしまうこともあるので、噛んでいいおもちゃを用意して、遊びで発散させてあげたいところです。
🐾 広い場所で走るための「ロングリード」と、噛んで遊べる「ロープおもちゃ」
ドッグランや広場で運動させるときのリードと、噛んで発散できるおもちゃの一例です(わが家の使用品の紹介ではありません)。ロングリードは、人や車のいない安全な場所で使ってください。
運動量の目安はあくまで一般的なものです。子犬やシニア、持病のある子は、かかりつけの先生に相談しながら決めてください。
ジャック・ラッセル・テリアがかかりやすい病気|膝・股関節・目
福山准教授監修の解説と、りほの動物病院の解説で挙げられていた病気を、家庭で気づけるサインと一緒にまとめました。
目の「水晶体脱臼」は遺伝性の好発犬種
りほの動物病院の解説では、ジャック・ラッセル・テリアは目のレンズ(水晶体)がずれる水晶体脱臼の遺伝性の好発犬種とされ、テリア犬種では平均4.5歳で発症するという報告が紹介されていました。
とくに水晶体が前にずれた場合、続発性緑内障を起こす割合が高いという報告(前方脱臼で73%)も挙げられていました。目のことで何か気になることがあれば、早めに受診したい病気です。
若いうちの足の異変にも
レッグ・カルベ・ペルテス病は、太ももの骨の先が壊死する病気で、トイプードルの記事で調べたときも、成長期(生後6〜11か月ごろ)に多いとされていました。元気に走り回る犬種だからこそ、足を引きずる、片足をかばう様子に気づいたら、様子を見すぎないようにしたいです。
ここに挙げたのはあくまで気づくためのきっかけで、診断ではありません。あてはまるところがあっても自己判断はせず、気になる様子があれば動物病院に相談してください。
ジャック・ラッセル・テリアを迎えるときに知っておきたいこと
「運動の時間」を毎日とれるか
小型犬でも、朝夕の散歩と遊びの時間が毎日必要な犬種です。迎える前に、毎日の生活の中で運動の時間をとれるかを考えておきたいところです。小さな動物と一緒に暮らしている家では、追いかける習性があることも頭に入れておきましょう。
「8週齢」のルール
環境省が定める動物愛護管理法では、繁殖業者が生まれてから56日(8週齢)を過ぎない子犬を、販売のために引き渡したり展示したりすることは禁止されています(令和3年6月1日施行)。
迎え方の3つの道
子犬の価格は、信頼できる形で「いくら」と書ける情報が見つかりませんでした。検討される際はご自身で最新の情報を確認してください。
同じく巣穴の仕事から生まれた犬種はミニチュアダックスの性格と飼いやすさは?で、小型犬の足の病気はトイプードルの性格と飼いやすさは?で調べています。
ジャック・ラッセル・テリアについてよくある質問
寿命はどのくらい?
アニコム損保の2021年度のデータ(家庭どうぶつ白書2023)では、ジャック・ラッセル・テリアの平均寿命は14.5歳でした。犬全体の平均(14.2歳)より少し長めです。
パーソン・ラッセル・テリアとの違いは?
もとは同じジョン・ラッセル牧師の犬から分かれた2つのタイプです。FCIの標準では、背が高く正方形に近いほうがパーソン・ラッセル・テリア、背が低く少し胴が長いほうがジャック・ラッセル・テリアとされています。
散歩はどのくらい必要?
獣医学の専門家が監修した解説では、毎日朝夕30分程度が目安とされていました。ドッグランなどで思いきり走る時間もあるとよいそうです。
トリミングは必要?
毛が伸び続ける犬種ではないので、全身のカットは基本的に必要ありません。週2〜3回のブラッシングが目安です。
レオ
毎日いっぱい走れるおうちで、元気に暮らしてほしいな。
ハル
これで17犬種目。体の形に仕事が書いてある、面白い犬種だったよ。

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