国際畜犬連盟(FCI)の犬種標準を読むと、「後ろ足のそれぞれに、よく形づくられた二重の狼爪がある」と書かれていました。そしてジャパンケネルクラブ(JKC)の紹介によると、性格は「独立心が強く率先して行動し、主人にいくぶんかの自己の判断を要求する」。群れを狼から守ってきた、山の番犬です。
この記事では、JKCとFCIの犬種標準、アニコム損保の解説、動物病院の情報をたどりながら、歴史・二重の狼爪・性格・お世話・かかりやすい病気・迎え方までをまとめました。
ハル
フランスとスペインの国境の山で、羊の群れを守っていた白い大きな犬なんだ。
あんず
あんずの何倍くらいあるの?
レオ
それに、後ろ足の指が1本多い(二重の狼爪)のが、犬種標準で決まっているんだよ。
タル吉
わしの群れ(家族)は、ハルが守ってくれておるがのう。
ハル
大きな体ならではの病気のことも調べたよ。
グレート・ピレニーズってどんな犬?ピレネー山脈で群れを守った番犬
ジャパンケネルクラブ(JKC)の犬種紹介によると、グレート・ピレニーズは遥か昔からピレネー山地に棲息し、中世には城館の番犬になっていたと14世紀の本に記されているそうです。17世紀にはすでに伴侶犬としてもてはやされ、ルイ14世にも飼われたとありました。
1897年にド・ビラント伯爵がこの犬種の詳細を記し、その10年後に最初のブリード・クラブが作られました。1923年に公式スタンダードが登録申請され、いまのスタンダードもこの1923年のものにとても近いそうです。
JKCの2025年の犬籍登録頭数では、グレート・ピレニーズは400頭で第34位でした。
後ろ足の「二重の狼爪」|犬種標準で決まっている特徴
狼爪(ろうそう)とは、足の内側の少し高いところにある、地面につかない指のことです。多くの犬では前足にあり、後ろ足にはないか1本だけのことが多いのですが、国際畜犬連盟(FCI)の犬種標準では、ピレニーズは「後ろ足のそれぞれに、よく形づくられた二重の狼爪がある」とされていました。
地面につかない爪は、歩いてもすり減りません。伸びすぎて巻いたり、どこかに引っかけたりしないよう、ふだんの爪切りのときに狼爪も忘れずに見てあげたいところです。
グレート・ピレニーズの性格|穏やかだけど、自分で判断する番犬
JKCの犬種紹介によると、ピレニーズはもっぱら家畜の群れを狼などの襲撃から守るために使われ、繁殖では防衛能力と、群れに対する意識の高さが重視されてきたそうです。その結果、「力強く敏捷であり、また穏やかで護衛するものに対する意識が高い」犬になりました。
そして、「この番犬は、独立心が強く率先して行動する傾向があり、主人に対して、いくぶんかの自己の判断を要求する」。指示を待って動く犬ではなく、山の中で自分で考えて群れを守ってきた犬なのですね。
アニコム損保の解説でも、防衛意識が強く自立心もあるので、甘やかすとコントロールが難しくなるとされ、やっていいこと・悪いことをきちんと教えるようすすめられていました。性格には個体差があるので、あくまで一般にそう言われている、というお話です。
グレート・ピレニーズのお世話|運動・抜け毛・暑さ
散歩は1日2回、1時間以上
アニコム損保の解説では、もとは使役犬なので毎日の運動が欠かせず、1日2回、1回につき1時間以上を目安にお散歩するのがおすすめとされていました。ただし、子犬の成長期に激しい運動をすると骨に負担がかかるとも書かれています。
抜け毛はとても多い
同じ解説によると、被毛は長くボリュームのあるダブルコートで、寒さから身を守る下毛が密生しています。毛玉になりやすいので日々のブラッシングが欠かせず、とくに換毛期の抜け毛の量はとても多いので入念なお手入れが必要だそうです。
暑さに弱い
アニコム損保の解説では、寒さには強いけれど暑さに弱いので、熱中症にならないよう温度と湿度を適切に管理することがすすめられていました。山の犬にとって、日本の夏はとても厳しい季節です。
グレート・ピレニーズがかかりやすい病気|股関節・胃捻転・骨肉腫
アニコム損保の解説では、気をつけたい病気として大型犬に多く見られる「股関節形成不全」「胃拡張・胃捻転」「骨肉腫」と、「膝蓋骨脱臼」が挙げられていました。
胃捻転は、夜でも救急へ
ダクタリ動物病院 東京医療センターの解説によると、胃拡張・胃捻転は胸の深い大型犬に起こりやすく、いちばん特徴的なのは「吐きたそうにするけど吐けない」様子で、数時間で急に悪くなります。食事を何回かに分け、食後すぐに激しく運動させないことが予防の基本です(くわしくはサモエドの記事でも)。
足を引きずるのが続くときは
骨肉腫は大型犬に多い骨の悪性腫瘍です。「ひねったのかな」と思うような足の引きずりが続く、足の骨のあたりが腫れている、といったときは、様子を見すぎずに動物病院で診てもらいましょう。
ここに挙げたのはあくまで気づくためのきっかけで、診断ではありません。あてはまるところがあっても自己判断はせず、気になる様子があれば動物病院に相談してください。
グレート・ピレニーズを迎えるときに知っておきたいこと
いちばん大きな犬を迎える準備
オスの体高は70〜80cm。立ち上がれば大人の肩に前足が届くほどの大きさです。住まいの広さ、夏の冷房、毎日2時間の散歩、そして大きな体の通院や介護。迎える前に、家族全員で話し合っておきたい犬種です。
「8週齢」のルール
環境省が定める動物愛護管理法では、繁殖業者が生まれてから56日(8週齢)を過ぎない子犬を、販売のために引き渡したり展示したりすることは禁止されています(令和3年6月1日施行)。
迎え方の3つの道
子犬の価格は時期やお店によって変わります。検討される際はご自身で最新の情報を確認してください。
わが家の視点|サモエド、あんず・レオと比べてみた

背中の高さは、3倍近くちがいます。
ピレニーズの体高はオスで70〜80cm。シーズーの犬種標準は27cm以下、トイプードルは24cm超〜28cmなので、3倍近い高さになります。犬種図鑑でこれまで調べた中で、いちばん大きな犬でした。
同じ白い大型犬のサモエドは「とても社交的で、番犬としては使えない」犬でした。ピレニーズは反対に、群れを守る番犬として、自分で判断することを求められてきた犬。白くてふわふわの見た目は似ていても、中身はかなり違うのが面白いところです。
ほかの大型犬はバーニーズ・マウンテン・ドッグやゴールデン・レトリーバーでも調べています。
グレート・ピレニーズについてよくある質問
寿命はどのくらい?
アニコム損保の解説では、ピレニーズ単独の数字ではなく、大型犬の平均寿命(家庭どうぶつ白書2021で11.5歳)が目安として紹介されていました。
後ろ足の指が多いのはなぜ?
犬種標準で「後ろ足のそれぞれに二重の狼爪がある」と決められています。地面につかない爪なので、爪切りのときに忘れずに見てあげてください。
番犬になる?
もとは家畜の群れを狼から守る番犬で、防衛意識が強く、自分で判断する傾向があります。子犬のころからのしつけが大切です。
散歩はどのくらい必要?
アニコム損保の解説では、1日2回、1回につき1時間以上が目安とされています。成長期は激しい運動を避けてください。
この記事で参考にした主な情報
あんず
あんずも守ってほしいもん!
ハル
これで35犬種目。次は警察犬でおなじみの、ジャーマン・シェパード・ドッグを調べてみようかな。




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