ラブラドールレトリーバーの性格と飼いやすさは?食欲・ゴールデンとの違いを飼い主が調べた

短くつやのある被毛に、太いしっぽ、人懐っこい笑顔。盲導犬としてもおなじみのラブラドール・レトリーバーです。
国際畜犬連盟(FCI)の犬種標準を読むと、しっぽは「カワウソのしっぽ」と表現されていました。そして調べていくと、ラブラドールの「食いしん坊」には遺伝子の理由があることも研究で分かってきていました。
この記事では、ジャパンケネルクラブ(JKC)とFCIの犬種標準、研究論文、盲導犬協会や動物病院の情報をたどりながら、歴史・ゴールデンとの違い・性格・食欲と体重・かかりやすい病気・迎え方までをまとめました。

ハル

今日はラブラドール・レトリーバーのことを調べてきたよ。
ゴールデンとよく比べられる、もうひとつのレトリーバーなんだ。

あんず

ラブちゃん!ゴールデンさんとどこが違うの?
あんず、食いしん坊なところなら負けないもん!

レオ

ラブラドールのしっぽは「カワウソのしっぽ」みたいに太いんだって。
それに、食欲が強くなる遺伝子の変化を持つ子がいることも分かっているんだよ。

タル吉

ふむ……食べることが好きなのは、わしも同じじゃ。
ただ、のんびり食べるのが長生きのコツじゃのう。

ハル

タル吉は本当にゆっくり食べるもんね。じゃあ、ラブラドールの歴史から紹介していくね。
盲導犬にならなかった犬を家族に迎える方法も調べたよ。

ラブラドール・レトリーバーってどんな犬?漁師を手伝った水辺の犬

ジャパンケネルクラブ(JKC)の犬種紹介によると、ラブラドール・レトリーバーはカナダのニューファンドランド沿岸で発祥したと考えられている犬種です。その地域では、漁師が魚を回収するために、よく似た外見の犬を使っていたそうです。原産国はイギリスとされています。

JKCの紹介では、ラブラドールは「比較的それほど古い犬種ではない」とされ、単犬種クラブは1916年、イエロー・ラブラドール・クラブは1925年に設立されたとありました。

項目 ラブラドール・レトリーバーの犬種標準(FCI第122号)
原産国 イギリス
分類 第8グループ「レトリーバー・フラッシング・ドッグ・ウォーター・ドッグ」のレトリーバー
用途 レトリーバー
体高 理想はオス56〜57cm、メス54〜56cm
体重 規定なし(体の構成で過体重を防ぐとされる)
しっぽ 根元がとても太く先へ細くなる、飾り毛のない「カワウソのしっぽ(オッター・テイル)」
毛色 ブラック、イエロー、レバー/チョコレート。胸の小さな白い斑は許容

いちばんラブラドールらしいのが、しっぽです。国際畜犬連盟(FCI)の標準では、しっぽは「根元がとても太く、先に向かってだんだん細くなる」形で、短く密な毛にぐるりと覆われ、その丸みのある形から「カワウソのしっぽ」と呼ばれるとありました。水の中で泳ぐ犬らしい特徴です。

毛色は3つだけで、イエローは明るいクリーム色からフォックス・レッド(赤みの強い色)まで認められています。標準では、これ以外の毛色は失格とされていました。

JKCの2025年の犬籍登録頭数では、ラブラドール・レトリーバーは3,410頭で第19位。大型犬ではゴールデン・レトリーバー(第11位)に次ぐ多さでした。

ラブラドールとゴールデンの違い|しっぽ・被毛・毛色

短く密な被毛と太いしっぽのラブラドール・レトリーバーと、長い飾り毛のゴールデン・レトリーバーを横向きに並べたイラスト
左がラブラドール、右がゴールデン。
被毛の長さと、しっぽの形がいちばんの違いです。

どちらも水鳥などを回収する、同じ「レトリーバー」の仲間です。FCIの標準を並べてみると、見た目の違いがはっきりしていました。

ラブラドール ゴールデン
理想の体高(オス) 56〜57cm 56〜61cm
被毛 短く、密で、波打たない。耐候性のある下毛 まっすぐか波打った毛で、飾り毛が豊か
しっぽ 飾り毛のない「カワウソのしっぽ」 飾り毛がある
毛色 ブラック・イエロー・レバー/チョコレート ゴールドまたはクリーム(レッド・マホガニーは不可)

見分けるなら、被毛が短くてつるっとしているのがラブラドール、長い飾り毛がふさふさしているのがゴールデン。黒やチョコレート色なら、それだけでラブラドールだと分かります。

ラブラドール・レトリーバーの性格|気立てがよく、人に喜ばれるのが好き

JKCの犬種紹介には、性格が「気立てが良く、たいへん聡明」「理解力があり、鋭敏で、柔順で、人に喜ばれるのを好む」「生まれつき優しく、攻撃的でもなければ、過度にシャイでもない」と書かれていました。嗅覚にすぐれ、「ソフトマウス」で、水をたいへん好むともあります。ソフトマウスとは、獲物をそっとくわえて傷つけない口のことです。

アニコム損保の「犬との暮らし大百科」によると、賢くて鼻がきくラブラドールは、盲導犬、警察犬、麻薬探知犬などとして世界で活躍しています。人だけでなく、ほかの犬を見つけると遊びに誘ってしまうほどフレンドリーな子が多く、そのぶん番犬にはあまり向いていないそうです。性格には個体差があるので、あくまで一般にそう言われている、というお話です。

ラブラドールの食欲と体重|「食いしん坊」には遺伝子の理由があった

ラブラドールは食いしん坊、とよく言われます。その理由のひとつが、研究で分かってきました。

ケンブリッジ大学などの研究チームは2016年、学術誌「Cell Metabolism」に、ラブラドールの一部に食欲と体重に関わる「POMC」という遺伝子の一部が欠けた変化があることを報告しました。この変化を持つ犬は、体重や体脂肪が多く、食べ物へのこだわりが強い傾向があったそうです。また、この変化は介助犬として選ばれたラブラドールに多く見られたとも報告されています。食べ物のごほうびでよく学ぶことと、つながっているのかもしれません。

「おなかがすいた顔」に負けない

体質として食欲が強い子がいるなら、大事なのは飼い主側の量の管理です。アニコム損保の解説でも、適切な量を与えるよう心がけることが挙げられていました。おやつも含めて1日の量を決め、ほしがるからと足さない。大型犬の肥満は、関節への負担にもつながります。

わが家のあんずも、食べ物の気配にはとても敏感です。それでも、ラブラドールのように「体質として満腹を感じにくい子がいる」と知ると、量を決めて守ることの大切さを改めて感じました。

ラブラドール・レトリーバーのお世話と、かかりやすい病気

抜け毛は意外と多い

毛は短いのですが、FCIの標準では耐候性のある下毛を持つ被毛です。下毛がある犬は換毛期にまとまって毛が抜けるので、「短毛だから抜けない」わけではありません。ラバーブラシなどでこまめに抜け毛を取ってあげたいところです。

暑さに弱い

寒い海で漁師を手伝っていた犬です。日本の夏は苦手なので、散歩は朝晩の涼しい時間にして、室内はエアコンで涼しく保ちましょう。

股関節形成不全

日本動物遺伝病ネットワークの解説では、股関節形成不全は大型犬に多発する病気で、多発犬種の最初にラブラドール・レトリバーが挙げられていました。腰を左右に振って歩く、ウサギ跳びのように走る、散歩を嫌がる、横座りをする、といった様子に気づいたら相談しましょう。成長期の体重管理と、床の滑り止めも大切です(くわしくはゴールデン・レトリーバーの記事でもまとめています)。

胃拡張・胃捻転

ダクタリ動物病院 東京医療センターの解説によると、胃拡張・胃捻転は胸の深い大型犬に起こりやすい病気で、いちばん特徴的なのは「吐きたそうにするけど吐けない」様子です。数時間で急に悪くなるので、疑わしいときは夜でも救急の動物病院へ。食事を何回かに分け、食後すぐに激しく運動させないことが予防の基本です。

ここに挙げたのはあくまで気づくためのきっかけで、診断ではありません。あてはまるところがあっても自己判断はせず、気になる様子があれば動物病院に相談してください。

ラブラドールを迎えるときに|盲導犬にならなかった「キャリアチェンジ犬」という道

ラブラドールを迎える方法には、ブリーダー・ペットショップ・保護犬のほかに、盲導犬協会の「キャリアチェンジ犬」という道があります。

キャリアチェンジ犬とは

東日本盲導犬協会の案内によると、訓練をしたすべての犬が盲導犬になるわけではなく、盲導犬になる割合は3割ほどだそうです。健康面や性格面から、盲導犬にならない道のほうが向いていると判断された犬が、キャリアチェンジ犬として一般の家庭に迎えられています。

同協会は、キャリアチェンジ犬は「うれしくて人に飛びつく」「知らない人に吠える」「散歩時に引っぱりが強い」など、元気いっぱいな犬がほとんどだとも書いていました。「訓練された、おとなしい犬」を想像していると、イメージが違うかもしれません。

おもな条件(東日本盲導犬協会の場合)

  • 室内で飼育できること
  • 単身世帯でないこと
  • 主な飼育者が65歳以下であること
  • 日常的に2〜3時間以上、犬に留守番をさせないこと
  • 最期まで責任を持ってお世話できること
  • 譲渡時に8万円以上の寄付ができること(避妊・去勢手術などの医療費、これまでのフード代に相当)
  • 譲渡時に賛助会員(月額の会費)になり、飼育期間中は続けること

条件は協会によって違うので、くわしくは各協会の最新の案内を確認してください。

「8週齢」のルールと、ほかの迎え方

環境省が定める動物愛護管理法では、繁殖業者が生まれてから56日(8週齢)を過ぎない子犬を、販売のために引き渡したり展示したりすることは禁止されています(令和3年6月1日施行)。ブリーダーから迎えるなら、親犬の大きさや性格、股関節の検査のことを直接聞けるのが強みです。子犬の価格は時期やお店によって変わるので、検討される際はご自身で最新の情報を確認してください。

わが家の視点|シーズーのあんず、トイプードルのレオと比べてみた

イエローのラブラドール・レトリーバーと、シーズーのあんず、トイプードルのレオを同じ床に並べて大きさを比べたイラスト
ラブラドールと、あんず(シーズー)、レオ(トイプードル)。
あんずとレオの2倍ほどの高さです。

ラブラドールの理想の体高はオスで56〜57cm。シーズーの犬種標準は27cm以下、トイプードルは24cm超〜28cmなので、2倍ほどの高さになります。

いちばん共感したのは、食べ物への熱意でした。あんずも食いしん坊なので、ラブラドールと暮らす方の「量を守る大変さ」は少し分かる気がします。いっぽうで、毎日たっぷり歩いて泳ぎも好き、という運動量は、わが家の2匹とはまったく違います。

同じレトリーバーのゴールデン・レトリーバー、同じ鳥猟犬の仲間ではアメリカン・コッカー・スパニエルも調べています。小さな犬との比べ方はシーズーの性格と飼いやすさも参考にしてください。

ラブラドール・レトリーバーについてよくある質問

寿命はどのくらい?

アニコム損保の「家庭どうぶつ白書2021」によると、ラブラドール・レトリーバーの平均寿命は12.9歳です。

ゴールデンとの見分け方は?

被毛が短くつるっとしていて、しっぽが太い「カワウソのしっぽ」ならラブラドール。長い飾り毛がふさふさならゴールデンです。黒やチョコレート色はラブラドールだけの毛色です。

なぜ食いしん坊なの?

一部のラブラドールには、食欲と体重に関わるPOMC遺伝子の変化があることが研究で報告されています。量を決めて守ることが、体重管理の基本です。

盲導犬にならなかった犬を迎えられる?

盲導犬協会の「キャリアチェンジ犬」として迎える方法があります。室内飼育や留守番時間などの条件があるので、各協会の案内を確認してください。

この記事で参考にした主な情報

あんず

ラブちゃんも、おなかがすいちゃう体質なんだね。
あんずも量を守るの……たぶん、がんばるもん!

ハル

ふふ、あんずのおやつはハルがちゃんと数えておくね。
これで29犬種目。次は北の国のそり犬、シベリアン・ハスキーを調べてみようかな。

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