老犬との暮らしには、ゆっくりとした時間が流れています。
その一歩が少しずつ遅くなり、目が合う時間も増えていくなかで、
飼い主としてできることは、“今”を大切に見守ることだけなのかもしれません。
我が家の「トイプードル・レオ」と「シーズー・あんず」は、多頭飼いならではのやさしい関係を築いてきました。
歩幅のちがうふたりが、それでも同じスピードで過ごしてきた日々。
そこには、言葉を超えた“家族のきずな”が確かにありました。
本記事では、老犬レオとの暮らしの記録と、あんずの寄り添い、
そして「いつか訪れる別れ」に向き合う私たち家族の思いを綴ります。
どうか最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
あんず
レオ
タル吉
あんず
はる
仲良し二匹と歩んだ多頭飼いのしあわせな日々
いつも寄り添う二匹がくれた、かけがえのない毎日
多頭飼いの日々は、思っていた以上にやさしくて、あたたかいものでした。晴れた日のカート散歩は、レオとあんずにとって“いちばんうれしい時間”。
メッシュ越しにぴったりと寄り添って外を眺める二匹の姿は、
まるで「きょうも一緒だよ」と伝え合っているようでした。
一緒に歩くときも、レオはゆっくりと、あんずはちょこちょこと。
歩幅もテンポも違うのに、不思議と“ぴったり同じ速度”で進んでいくんです。
ときどきレオが立ち止まれば、あんずがそっと振り返って待ってくれる。
その何気ない一瞬一瞬が、私にとっては家族の宝物です。
年を重ねたレオは、だんだんと歩くのが大変になってきました。
でも、お出かけの楽しみは手放せない。
そんなときに活躍したのがペットカートです。
本当はレオのためのカートなのに――
なぜか先に乗り込むのは、いつも甘えんぼのあんず。
見ているだけで、なんだか笑えて、でも泣けてくる。
そんな“あんずらしさ”が、私たち家族の時間にあたたかさを添えてくれます。
性格も年齢も違うふたりが、同じペースで同じ時間を歩んでくれたこと。
それこそが、多頭飼いのよろこびだと教えてくれました。
ゆっくり年を重ねたレオの変化と、寄り添うあんず
老犬になったレオが見せてくれた、やさしい時間の流れ
老犬になったレオには、少しずついろんな変化が訪れました。歩くスピードがゆっくりになり、目も見えづらくなり、
そしていつの間にかトイレの失敗も増えてきて…。
それでもレオは、どんな変化も静かに受けとめながら、
「まだ、歩けるよ」と言いたげに、短い足で前へ進もうとしていました。
老犬の一歩は、とても小さくて、でもとても大きい――そんな気がしていました。
そのそばには、いつもあんずがいました。
レオが止まれば、あんずも止まる。
レオが迷えば、あんずが寄り添う。
「だいじょうぶだよ、レオ兄ちゃん。わたしがいるよ」
そんな風に語りかけるように、そっと隣をキープして歩くあんずの姿が、何よりの支えになっていたのかもしれません。
犬たちは言葉を使わなくても、お互いの変化を理解している――
そんなふうに感じています。
同じ形になって眠るふたり。
若い頃は取っ組み合いもしたけれど、
今は静かに「存在を分け合う」ような、やさしい時間が流れていました。
レオが老いていく現実は、正直なところ、寂しくてたまらなかった。
でも、あんずの存在があったからこそ、
その時間は「悲しみ」ではなく、「やさしさ」に変わっていったのです。
いつか訪れる別れを思うとき──レオが教えてくれた“いま”の尊さ
老犬との日々が教えてくれた、かけがえのない時間
レオが歳を重ねるごとに、眠る時間が増えていきました。
並んで丸くなって眠るあんずとレオの姿を見ていると、
ふと胸の奥が、ぎゅっと締めつけられる瞬間があります。
それはきっと、レオが“いま”を一生懸命に生きているから。
そして、その“いま”が永遠ではないことを、どこかで理解しているから。
歩けない日も、目が見えづらく不安げな日も、
あんずはいつもレオのそばにいました。
そんなふたりを見ながら、私は何度も思ってしまうのです。
「レオがいなくなったら、あんずはどう感じるんだろう」
「きっと探すよね、きっと…」
散歩中も、あんずはいつもレオを気にかけています。
自分が先に行きそうになると、ふと立ち止まり、後ろを振り返る。
そんなあんずの姿を見るたびに、
「あぁ、この子たちはほんとうに家族なんだな」と、しみじみ思います。
レオはまだ、そばにいます。
眠るときのあたたかな体温も、静かに響く寝息も。
今、この瞬間も、確かにここにあります。
だからこそ、私は思うのです。
「いつか来るその日」が怖くても、
このふたりがくれた日々は、それを包み込んでくれるだろうと。
レオが教えてくれた “いまを愛する”ということ。
あんずと寄り添う今日という日が、どれほど愛おしいものか。
それは、私たち家族にとって何より大切な、
かけがえのない宝物です。
はる
あんず
レオ
はる
あんず
レオ
はる





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