気づくのが遅くてごめんね――それでも君と歩いた日々は宝物
あんず
レオお兄ちゃんって、ちっちゃいころはどんな子だったの?
いっぱい遊びに行ってたのかな~?
いっぱい遊びに行ってたのかな~?
レオ
そうだなぁ…あんまりお出かけはできなかったな。
飼い主さん、毎日すごく忙しかったからさ。
でも、帰ってくるのを玄関で待つのは、ぼくの楽しみだったんだよ。
飼い主さん、毎日すごく忙しかったからさ。
でも、帰ってくるのを玄関で待つのは、ぼくの楽しみだったんだよ。
タル吉
それって、ちょっと切ないけど…やさしい時間だね。
気づかないうちに過ぎていく日々って、誰にでもあるのかも。
気づかないうちに過ぎていく日々って、誰にでもあるのかも。
あんず
そっかあ…でも、そこからいっぱいお出かけできたんだよね?
どこで変わったの?
どこで変わったの?
はる
うん…レオが10歳になった誕生日の日、
背中の毛に白いものを見つけたときにね――
やっと私は、大切な時間のことを考えるようになったんだよ。
…今日はそのお話を、少しだけ聞いてくれる?
背中の毛に白いものを見つけたときにね――
やっと私は、大切な時間のことを考えるようになったんだよ。
…今日はそのお話を、少しだけ聞いてくれる?
忙しさに追われて気づけなかった日々
小さかった頃のレオは、決して体が弱かったわけじゃありません。けれど、私が仕事と家事に追われる毎日で、なかなか外へ連れ出してあげることができませんでした。
それでもレオは、いつも静かに玄関で私の帰りを待っていて、目が合うと小さくしっぽを振ってくれました。
それだけで満足そうな顔を見せてくれていたのが、今でも忘れられません。
「今度の休みに、どこか行こうね」
そう声をかけながらも、何度も何度もその約束を後回しにしてしまっていたのです。
そんな私が変わったのは、レオが10歳の誕生日を迎えた頃でした。
ふと見たレオの背中に、白く混じった毛を見つけた瞬間――
「あれ、こんなに歳をとったんだ…」と胸が締めつけられるような気持ちになりました。
失った時間を埋めるように――笑顔が増えていった週末
あんず
レオお兄ちゃん、なんで最近はずーっと寝てるの?
ちょっとさみしいよ〜…
ちょっとさみしいよ〜…
レオ
ふふ、もう15歳だからね。のんびりするのも仕事なんだよ。
でもね、あんず……ぼくには、ちゃんと“宝物みたいな時間”があるんだ。
でもね、あんず……ぼくには、ちゃんと“宝物みたいな時間”があるんだ。
タル吉
レオ兄さんと飼い主さんが一緒にいろんな所へ行った話、ぼくも聞いたよ。
あんず
えっ!? お兄ちゃんってそんなにたくさんお出かけしてたの!?
聞きたい聞きたーいっ!
聞きたい聞きたーいっ!
はる
ふふ、そうだね。実はレオと私には、ある“特別な時間”があるんだよ。
じゃあ今日は、その思い出を少しだけ聞いてもらえるかな。
じゃあ今日は、その思い出を少しだけ聞いてもらえるかな。
取り戻した時間と、今そばにある静かな幸せ
そこから私は、本気でレオと向き合うことを決めました。毎週末になると、車にレオを乗せてあちこちへ出かけるように。
海に行って、波にびっくりして飛び跳ねたこともありました。
山道では途中で抱っこして、汗だくになって一緒に登った日もあります。
いっぱい歩いて疲れて、おうちで一緒にねんね
道の駅では、焼き芋を半分こして笑い合いました。
まるで、これまで過ごせなかった時間を取り戻すかのように――
その時間は濃く、そして温かく、私たちの心に刻まれていきました。
レオは何も責めませんでした。
ただ、嬉しそうに私の隣で笑ってくれていたのです。
そして今、14歳になったレオは、ゆっくりと過ごす時間が増えました。
昔のような長い散歩はしなくなりましたが、静かに寄り添ってくれるその姿に、私は何度も涙をこらえています。
「もっと早く気づいてあげればよかった」――そう思うこともあります。
けれど、きっとレオはこう言ってくれる気がするのです。
「大丈夫、ちゃんと一緒に過ごせたよ」って。
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